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【2023年最新】Type Hints(型ヒント)の書き方|使う目的やメリットも解説

目次

「型ヒントは型チェックと何が違うの?」

「Pythonは型が不要なはずなのに、どうして型が必要なの?」

プログラミング言語を扱ううえで、上記のような疑問を感じた経験のある人もいるのではないでしょうか。Pythonなど動的型付け言語には型の宣言が不要という特徴があり、それがプログラミングの自由度を高めるという点でメリットとなります。しかし、型の不整合などの問題が起きやすいのも事実で、それを解消するために生まれたのが型ヒントという作法です。

この記事では、「型ヒントとは何か?」という基本的なところから解説し、初めて型ヒントに触れる人が自分で使い始めるまでのサポートをします。ぜひ最後まで読んで、型ヒントを使うコツを掴んでください!

Type Hints(型ヒント)とは

型ヒントとは、「関数アノテーションを使って関数の引数と戻り値の型を明示的に表すこと」を指します。

たとえば、以下のPythonコードを見てみましょう。

def greet(name: str) -> str:    return ‘Hello, ‘ + name

ここでは、greet関数は引数nameが文字列(str)であることを期待し、文字列を戻り値として返すことを期待していることを明示しています。

静的型付け言語(JavaやC++など)における「変数型」とは異なり、Pythonのような動的型付け言語における型ヒントは実行時には無視されるものです。

しかし型ヒントを用いることにより、コードの可読性が向上します。また、型チェッカー(mypyなど)を使うことで、コードが期待通りの型を使用しているかを実行前に確認できます。

型ヒントは、複数の開発者が同じプロジェクトに取り組む場合に特に有効です。なぜなら、他の開発者が書いたコードを理解しやすくなるためです。

また、複雑な関数やアルゴリズムを実装する場合、扱っているデータを明示的に示すことで、開発者自身の混乱を避けられます。

型ヒントを使う目的

型ヒントを使う目的は、主に「コードの可読性が向上する」「静的型チェックをサポートしてくれる」の2点です。それぞれ詳しく説明していきます。

ードの可読性が向上する

型ヒントを用いると、関数がどのような型の引数を期待しているか、あるいはどのような型の戻り値を返すかが明確となります。そのため、コードの可読性が大幅に向上するのです。

コードの可読性が向上すれば、コードを初めて読む人でも関数の動作を理解しやすくなるので、たとえば自分以外の開発者にコードの保守を任せる場合の安全性が高まるでしょう。プロジェクトに新たに参加した開発者が、コードの内容を速やかに理解して開発に参加できるようになるというメリットも考えられます。

静的型チェックをサポートしてくれる

型ヒントを使用したコードを静的型チェックツール(mypyなど)で解析することで、コードのバグを発見できます。

静的型チェックツールは、コードが実行される前に型の不整合を検出してくれるツールです。たとえば、引数として文字列を期待する関数に整数が渡されるなど、型が不整合な場合にエラーを報告します。

このように実行前に型に起因するエラーを検出できるので、リリース後に予期せぬ実行時エラーが発生することを減らせます。大規模なプロジェクトにおいては、長期的なメンテナンスを容易にするために不可欠です。

型ヒントを使うメリット

型ヒントを使うメリットから、代表的なものを3点紹介します。

  • コードの安全性が向上する
  • エラーを早期発見できる
  • ドキュメント生成を効率化できる

以下を読み進めれば、型ヒントを使う理由に納得できるはずです。

ードの安全性が向上する

型ヒントにより、関数やメソッドがどのような引数を受け取り、何を返すのかが明確になり、コードの安全性が向上します。また、コードの理解が容易になり、型に関する誤解を防ぐことも可能です。そのため、新機能の実装や既存機能の変更において、無駄なバグの発生を防げます。

たとえば、文字列型の引数を期待する関数に整数型の引数を誤って渡すといった問題を、型ヒントを通じて早期に発見できます。そのため、型ヒントと静的型チェックツールを組み合わせることで、実行前に型に関する問題を検出でき、コードの安全性が向上するのです。

エラーを早期発見できる

型ヒントを使用すると、エラーを早期に発見できます。なぜなら、型に関するエラーを、コードの実行中ではなく開発の初期段階で発見できるためです。

具体的には、型ヒントと静的型チェッカー(mypyなど)を組み合わせることで、型の不一致によるエラーをコード実行前に検出・修正できます。

コードの実行前にエラーを発見できるので、修正に必要な時間と労力を大幅に節約できるというメリットがあります。これはソフトウェアの品質を保つために重要な要素です。

ドキュメント生成を効率化できる

型ヒントは、ドキュメントの生成を効率化するのにも有用です。コードに型ヒントが含まれていると、関数の引数と戻り値の型を含むドキュメントを自動的に生成できます。

たとえば、Sphinxやpydocなどのドキュメンテーションツールは、型ヒントを解析し、ドキュメントを自動生成するツールです。これにより、開発者は手動でドキュメントを更新する必要がなくなり、開発を快適に進められます。また、ドキュメントが常に最新の状態を反映しているため、他の開発者がコードを理解しやすくなり、開発の効率が上がります。

Pythonの型ヒントとは

ここまでに述べてきた「型ヒント」はプログラミング言語全般の概念で、ソースコード内で変数、関数の引数、関数の戻り値等のデータ型を指定するための構文や注釈を指します。

一方「Pythonの型ヒント」は、Pythonにおける型ヒントのシステムで、機能としてはここまでに述べてきた型ヒントそのものです。Python3.5から導入されました。

冒頭に挙げたPythonコードの例を再度見てみましょう。型ヒントは以下のように記述します。

def greeting(name: str) -> str:    return ‘Hello ‘ + name

greeting関数の引数nameが文字列(str)であり、戻り値も文字列(str)であることが示されています。この`:str`や`-> str:`の部分が「Pythonの型ヒント」の書き方です。

Pythonは動的型付け言語で、変数の型は実行時まで確定しません。型ヒントはあくまで、開発者が変数や関数に期待する型を明示するものです。これにより、コードの安全性を高めるなどのメリットが得られます。

【2023年最新】Type Hintsの書き方

Pythonの型ヒントの規則を提供するのがtypingモジュールです。ここでは、typingモジュールの基本的な使用法と主要な型アノテーションを紹介します。

変数の型ヒントは次のようなルールです。

(ルール)変数名: 型 = 値
(例)money: int = 100

この例では、moneyという変数をint(整数型)とし、100という値を代入しています。

関数の型ヒントは次のようなルールです。コロンの位置に注意しましょう。

(ルール)def 関数名(引数名: 型, …) -> 戻り値の型: return ***
(例)def greeting(name: str) -> str: return `Hello ` + name

この例では、greetingという関数はnameという文字列(str)を引数に取り、戻り値(`Hello ` + name)も文字列だと規定しています。

typingモジュール

Pythonのtypingモジュールは、型ヒントを使うためのライブラリで、多くの組み込み型(たとえばint、strなど)と一緒に、より複雑な型(たとえばAny、Tuple、Unionなど)を提供します。これらは型ヒントを書くための基本的なツールです。

たとえばAny型を使う場合は、以下のように宣言します。

from typing import Any

実際の使い方については次の項目で解説するので、続けて読んでください。

主要な型アノテーション

主要なアノテーションを3点紹介します。

  1. Any型

Anyは全ての型と互換な型として扱われるので、どんな演算やメソッドにも代入可能です。

(例1)from typing import Anya: Any = Nonea = [1,2,3] #OKa = 5 #OK
(例2)from typing import Anya: Any = 10 #OKs: str = ”s = a #OK

例1では変数aをAny型とし、[1,2,3]というリストや、5という整数値を代入しています。静的型チェックを行う場合、どの段階でもエラーは出ません。

例2では変数aをAny型とし、10という整数値を代入しています。さらに文字列型であるsという変数にaを代入していますが、静的型チェックでエラーは出ません。

  1. Union型

Union[X, Y]はX|Yと等価で、「XまたはY」を意味します。X、Yは型です。

(例)from typinig import Uniona: Union[int, str]a = 5 #OKa = ‘Japan’ #OKa = 4.5 #NG

この例では、aという変数は「intまたはstr」の型を取ると宣言されています。そのため、5や’Japan’を代入するのは構いません。しかし4.5という浮動小数点型の値を代入すると、静的型チェックでエラーが出ます。

  1. Tuple型

Tuple[X, Y, …]は、型X、型Y、…からなるタプルです。

(例)a: Tuple[str, int]a = (‘野球’, 9) #OKa = (15, 9) #NGa = (9, ‘野球’) #NG

この例では、aというタプルは、第1引数が文字列、第2引数が整数を取ると宣言されています。そのため、(15,9)のような「整数, 整数」や、(9, ‘野球’)のように「整数, 文字列」のタプルは静的型チェックでのエラー対象となります。

型ヒントを使うときの注意点

ここまで述べてきたように、型ヒントはコードの品質を向上させることに役立ちますが、使用する際には注意が必要です。ここでは、その主要な注意点を二つ紹介します。

型ヒントを多用しすぎない

型ヒントはコードの可読性と安全性を向上させますが、多用しすぎると逆にコードが複雑になり、可読性が低下する可能性があるので注意が必要です。特に、複雑なジェネリック型やカスタム型を多用すると、コードの理解を難しくすることがあります。

明確さとシンプルさのバランスを保つことを重視しましょう。関数の引数や戻り値など、他の開発者の理解を助ける場所に型ヒントを使用することが最も効果的です。逆に、明確な利点がない場合や、型ヒントがコードを難解にする場合には、型ヒントを避ける方が良いかもしれません。

型ヒントと型チェックを混同しない

型ヒントはその名の通り「ヒント」であり、コードの実行時には無視されます。これは型ヒントを用いる言語(Pythonなど)が動的型付け言語であるためです。

例えばPythonの型ヒントは、mypyなどの静的型チェッカーやIDEなどが型の問題を検出するのに役立ちますが、これはあくまで開発時のみです。実行時の型エラーまで防げるわけではありません。そのため、型ヒントがあるからといって実行時の型チェックを省略することはリスキーであり、実行時にも適切な型チェックを行うことが重要です。

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この記事では、Pythonを中心に、「型ヒント」という機能の意味を具体的に解説してきました。型宣言が要らない動的型付け言語であっても、コードの可読性や安全性を高めるために型ヒントを用いることが有用だとわかっていただけたと思います。

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