API開発のスキルはフロントエンジニアに必要?メリット・デメリットや開発工程まで紹介
目次
- API開発のスキルはフロントエンジニアには必要?
- そもそも API( Application Programming Interface)開発とは?
- APIの種類
- APIの仕組み
- API開発の目的
- API開発のメリット
- ソフトウェアの開発効率を向上できる
- コスト抑制につながる
- セキュリティ対策を強化できる
- API開発のデメリット
- 高度な知識が必要になる
- 仕様変更や停止などに対して臨機応変な対応が求められる
- API開発の手順
- 1.企画・設計準備
- 2.リサーチ・戦略立案
- 3.API設計
- 4.検証
- APIの利用方法
- 1.APIを提供しているサイトへ登録する
- 2.APIキーとシークレットキーを取得する
- 3.アプリに設定する
- 4.APIを実装する
- APIを連携するときの注意点
- 開発側はインターフェースを容易に変更できない
- APIの提供が停止されると不具合が生じる場合がある
- サーバー障害やメンテナンスに左右されやすい
- 課金が必要なAPIもある
- API開発の例
- Google Calendar API
- Twitter API
- Chatwork API
- API関連の求人を探すならシーカーズポートに相談しよう
「フロントエンジニアにAPI開発のスキルって必要?」
「API開発ができるメリットは?」
エンジニア職での転職を検討している人の中には、上記のような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
APIは、ソフトウェアやアプリケーションが情報や機能を共有するためのインターフェースです。バックエンドとのデータのやり取りや機能を統合できるため、フロントエンジニアの方にとっては便利なスキルです。また、APIを連携すれば、さまざまなメリットを期待できます。
本記事では、API開発の特徴やメリット・デメリットなどを解説します。エンジニア職の転職先を探している方やAPI開発のスキルを活かした職種に就きたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
API開発のスキルはフロントエンジニアには必要?
API開発のスキルは、フロントエンジニアで働く人が身につけていると便利です。
APIを利用することで、バックエンドとのデータのやり取りや機能の統合ができるようになり、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させられます。例えば、自社サービスの機能を他のアプリケーションと連携させる場合、APIが必要です。
フロントエンジニアがAPI開発の基礎知識やスキルを持つことは、システムの一貫性や柔軟性を確保するために大切な要素になります。
そもそもAPI( Application Programming Interface)開発とは?
そもそもAPIとは、必要な情報や通信を使ってソフトウェアを開発する仕組みのことです。
「Application Programming Interface」の略称であり、それぞれ以下のような意味を持ちます。
Application(アプリケーション) | パソコンやスマホアプリなど、目的に応じて作成するプログラミング |
Programming(プログラミング) | プログラムを構築し、コンピューターへ指示する |
Interface(インターフェース) | 2つのものを繋ぐもの |
異なるシステム間でアプリケーション(ソフトウェア)同士をシームレスにつなぐ接点・接続仕様となっています。
以下では、APIの種類や仕組み、開発目的について解説していきます。
APIの種類
APIの種類は、以下の3つです。
種類 | 特徴 |
プライベートAPI | 他社に公開することなく、自社内だけで使うAPI |
パブリックAPI | 一般公開を行うためのAPI |
パートナーAPI | 企業やサービス間の連携を目的として提供されるAPI |
プライベートAPIとは、企業内部で利用するために作成されたAPIのことです。導入することで、組織内の効率性や生産性を向上させる効果が期待できます。
パブリックAPIは、誰でも気軽に利用できるように、オープンソースとして作成されたり申請が必要だったりと、開発元によって権限の範囲が異なります。
パートナーAPIは、異なる組織やサービス間でのデータの共有や機能の連携を可能にするAPIです。一般公開されないため、独自の機能を利用できるメリットが期待できます。
APIの仕組み
APIの仕組みは、ソフトウェアやアプリケーションが他のソフトウェアと情報や機能をやり取りするための仕組みです。
具体的にいうと、利用者が端末のアプリケーションからサーバーに必要なデータをHTTPでリクエスト(要求)すると、レスポンス(返答・戻り値)としてデータのみが返ってきます。外部のアプリケーションがそのWebサービスのデータや機能にアクセスできるようにする役割を果たします。
APIは、ソフトウェア開発者にとって重要であり、開発の効率性や拡張性を高めるために活用されるのです。
API開発の目的
API開発を行うと、異なるソフトウェアやサービス間でのデータや機能の共有を実現できます。サービス利用者の利便性が向上する、開発フェーズにおいて生産性・効率性が向上するなどの目的があります。
企業によってAPI開発の目的は異なりますが、APIは外部サービスの連携を容易にできるため、ビジネスの拡大や新たなビジネスモデルの実現を支援できるなどが期待できるでしょう。
API開発のメリット
API開発のメリットは、主に以下の3つです。
- ソフトウェアの開発効率を向上できる
- コスト抑制につながる
- セキュリティ対策を強化でき
あらかじめメリットを理解しておけば、よりAPI開発の魅力がわかるようになるでしょう。
それでは、順番に解説します。
ソフトウェアの開発効率を向上できる
API開発を行うと、ソフトウェアの開発効率を向上できるといったメリットが期待できます。
APIを使用することで、共通の機能やデータにアクセスでき、同じ機能を複数のアプリケーションで再開発する必要がなくなります。そのため、0からプログラムを組むことができ、開発時間とコストを削減できるでしょう。
ソフトウェアを作成するハードルが低くなり、さまざまな開発が容易にできるようになるのは嬉しいポイントです。
コスト抑制につながる
API開発を行えば、コストを抑えられるのもメリットです。理由は、プログラミングの工数を減らせるからです。
一般的に、システムを構築するには膨大な時間と費用がかかってしまいます。エラーやバグも多く発生するため、その度改修費用もかかり、開発にかかるコストが膨らみがちです。
しかし、API開発の場合はサービスに必要な機能を搭載すれば、プログラミングの工数を削減できます。開発期間が短くなり、開発や運用におけるコストの削減が実現できるでしょう。
セキュリティ対策を強化できる
セキュリティ対策を強化できるのも、API開発を行うメリットです。
利用時に必要なログイン情報をSNSやGoogleアカウントと紐づけするAPIを活用すれば、第三者の不正アクセスを制限できます。
データの安全性を確保できるため、情報漏洩せずにユーザーの信頼度も高くできるでしょう。
API開発のデメリット
一方、API開発にはデメリットもあります。
- 高度な知識が必要になる
- 仕様変更や停止などに対して臨機応変な対応が求められる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
高度な知識が必要になる
API開発は、誰もができるような簡単なことではありません。
アプリケーション開発の知識はもちろん、システムを作成する上で、エラーやバグなどが頻繁に発生するため、エラー対応の知識や認証に関する知識なども求められます。
覚えることが多く、高度な知識がなければAPI開発が満足にできないでしょう。
仕様変更や停止などに対して臨機応変な対応が求められる
API開発をするにあたり、仕様変更されたり、提供が停止されたりする可能性が大いにあり、臨機応変な対応が求められます。
サービスに支障が出ないように対処しなければならないため、API提供元に依存してしまうと、すぐに対応策を講じることができなくなってしまいます。
そのような状況に陥らないためにも、API開発ではストックとして動作できる環境を事前に整えておく必要があるでしょう。
API開発の手順
API開発の手順は、以下の通りです。
- 企画・設計準備
- リサーチ・戦略立案
- API設計
- 検証
開発する際、ユーザーの立場になって有効的な手段となるようなAPI開発ができるようにしましょう。
それでは、順番に解説します。
1.企画・設計準備
作成するAPIが、ユーザーにとってどんなことを提供するのかをはっきりさせる必要があります。
提供するものを明確にすることで、APIの範囲や機能、データの取得や送信方法、認証やセキュリティ要件などをより詳細に設計できます。
2.リサーチ・戦略立案
企画・設計準備が完了したら、リサーチ・戦略立案を開始します。自社の強みが何かを明確にし、ビジネス戦略の立案を行いましょう。
APIがどのようにビジネス目標に寄与するかを明確にした上で、収益モデルや利益計算、APIの価値提案などを考慮し、収益性や競争力を最大化する戦略を策定します。
さらにターゲットユーザーを特定し、彼らのニーズや要件を把握しすれば、APIの機能やデザインに反映させるべき要素を明確化してUX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させることが可能です。
3.API設計
リサーチ・戦略立案ができたら、いよいよAPIの設計です。
APIの機能やエンドポイント、リクエスト・レスポンスの仕様を定義します。これにより、APIがどのような機能を提供し、どのようなデータを受け取るかを明確にし、実装していきます。次に、APIの認証やセキュリティについて考慮し、適切な認証メカニズムやアクセス制御を設計する流れです。
なお、開発段階では、APIの状況に合わせて最適化することを意識する必要があるでしょう。例えば、セキュリティを強化したいのであれば、ハッキングの糸口となるエラーを減らす対策を行わなければなりません。
4.検証
API開発が完了したら、最後に動作がしっかりとしているか確認します。
ここで動作が正常でなければ、原因を追求し、修正作業に入る必要があります。特に問題がなければ、開発完了です。
APIの利用方法
APIの利用方法は、主に以下の通りです。
- APIを提供しているサイトへ登録する
- APIキーとシークレットキーを取得する
- アプリに設定する
- APIを実装する
それでは、順番に解説します。
1.APIを提供しているサイトへ登録する
APIの利用方法として挙げられるのが、APIを提供しているサイトへ登録することです。
APIを提供しているサイトとは、主に以下のようなサイトが該当します。
- Yahoo!デベロッパーネットワーク
- Twitter API
- 楽天ウェブサービス
登録手続きを行うことで、APIの利用に必要なアクセスキーなどの認証情報が発行されます。
2.APIキーとシークレットキーを取得する
APIを提供しているサイトへ基本情報を登録すると、APIキーとシークレットキーが取得できるようになります。
APIキーは、APIを利用する際に必要な認証情報の1つです。シークレットキーとは、その名の通り「機密情報」という意味を持ちます。「API=ID」「シークレットキー=パスワード」と思ってもらえれば大丈夫です。
これらを使用してAPIにアクセスし、データやサービスを利用することができます。
3.アプリに設定する
APIキーとシークレットキーを取得したら、取得したキーをアプリに設定します。
APIキーは認証の一部として使用され、APIリクエストを行う際にサーバーに送信されます。APIキーの設定により、アプリはAPIにアクセスする権限を得ること可能です。
ただし、APIキーは秘密情報であり、第三者に漏洩しないように注意してください。
4.APIを実装する
アプリに設定したら、APIを実装します。
実際にコードを書き、自分のWebサイトやアプリに実装することで、APIを利用できます。
APIを連携するときの注意点
APIを連携するときは、以下の4点に注意しましょう。
- 開発側はインターフェースを容易に変更できない
- APIの提供が停止されると不具合が生じる場合がある
- サーバー障害やメンテナンスに左右されやすい
- 課金が必要なAPIもある
注意点を理解し、スムーズにAPIの開発ができるよう、以下の内容を参考にしてみてください。
開発側はインターフェースを容易に変更できない
APIを連携する際、インターフェースは簡単に変更できません。
開発側はインターフェースを変更できないため、信頼性が高いインターフェースを選ぶ必要があります。APIを利用する他のシステムやアプリケーションがAPIの仕様に依存しているため、互換性を保つ必要があるからです。
どうしても変更が必要な場合は、開発者や利用者への通知や互換性の維持を考慮した移行計画を立てることが重要です。
APIの提供が停止されると不具合が生じる場合がある
APIの提供が停止されると不具合が生じる場合があることも、注意点として挙げられます。
APIは外部のシステムとの連携を可能にするため、連携先が提供しているAPIの正常な動作に依存しています。そのため、APIの提供が停止された場合、連携に関連する機能が正常に動作しなくなってしまいます。
動作しなければ、自社サービスに悪影響を及ぼしてしまうため、万が一のトラブルに備えてBCP(事業継続計画)を策定しておくと良いでしょう。
サーバー障害やメンテナンスに左右されやすい
APIの開発は、サーバー障害やメンテナンスに左右されやすいです。
先述した通り、APIは外部のサーバーとの通信を介してデータや機能を提供します。そのため、連携先のサーバーが障害やメンテナンスによって一時的に利用できなくなると、APIの利用に支障が生じます。
API連携を行う際には連携先のサーバーの稼働状態やメンテナンススケジュールを把握し、適切な対策を講じる必要があるでしょう。
課金が必要なAPIもある
APIの中には、課金が必要なものも存在します。
APIを提供する企業やサービスが、その機能やデータへのアクセスに対してコストを負担しているためです。そのため、APIの利用に際しては、APIプロバイダーの利用料金体系や料金設定について注意深く確認する必要があります。
API開発の例
最後に、API開発の例をご紹介します。あらかじめ開発事例をみておけば、API開発のイメージがつきやすくなるでしょう。
Google Calendar API
Google Calendar APIは、Googleカレンダーのさまざまな機能が利用できるAPIです。例えば、アプリやウェブサイトにカレンダー機能を組み込む場合や、カレンダーデータを他のシステムと連携させます。
開発者はGoogle Calendar APIを使用して、ユーザーのカレンダーデータにアクセスし、必要な操作や情報の取得を行うことができます。
Twitter API
Twitter APIは、Twitterの機能やデータにアクセスするためのAPIです。
Twitter APIを利用することで、ツイートをWebサイトに表示させたり、ユーザー情報を取得できたりできます。
Chatwork API
Chatwork APIは、Chatworkというビジネスチャットツールの機能やデータにアクセスするためのAPIです。APIを利用することで、ユーザーはメッセージの送受信、ルームの作成・編集、タスクの管理などを自動化できます。
Chatwork APIは、ビジネス環境でのチームコミュニケーションの効率化を目指す開発者にとって重要なツールです。
API関連の求人を探すならシーカーズポートに相談しよう
本記事では、API開発の特徴についてご紹介し、API開発のメリット・デメリットなどを解説しました。
APIの種類は3つで、どれもサービス利用者の利便性を向上させたり、開発工程の生産性・効率性を向上させたりといった目的があります。
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