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退職時の引き止め対策と対処法

上司に退職の意思を伝えると、会社に残るよう説得されるケースがあります。なぜ上司は退職を引き止めるのでしょうか。引き止めの理由とアプローチ方法について触れながら、スムーズな退職のために必要な準備を解説します。

退職の引き止めはパワハラや違法行為?

パワハラに該当する場合

職場でのパワーハラスメント、通称パワハラは、以下の3つの基準を全て満たした場合に認定されます。

・役職の優位性を利用していること。

・業務の適正な範囲を超えて行われること。

・精神的または身体的な苦痛を与えること、もしくは就業環境を悪化させていること。

たとえば、損害賠償や懲戒処分の脅し、給料や退職金の減額、有給休暇の取得を妨げるような圧力をかける場合などは、パワハラとみなされることがあります。

退職を認めないのは違法行為

憲法第22条第1項により、職業選択の自由が保障されています。これには退職の自由も含まれるため、退職を申し出た際に無理矢理引き止められることは違法です。

しかし、特定の条件を満たしていない場合は、退職の申し出を拒否することが可能です。例えば、正社員の場合、退職申し入れ後2週間が経過すれば雇用契約は終了します。

一方で契約社員は、基本的に契約期間中の退職は認められていません。

参考:日本国憲法22条 | e-Gov法令検索

参考:民法627条 | e-Gov法令検索

上司が退職を引き止める理由

退職を申し出ると、突然態度を変えて退職を引き止める上司も少なくありませんここでは、上司が退職を引き止める3つの主な理由について解説します。

採用コストを抑えたいから

退職者が発生すると、1日の業務量が1人分減少し、退職者が重要な役割を担っていた場合、最悪のシナリオでは企業の倒産につながる可能性もあります。このようなリスクを避けるため、人手不足を補うために退職を引き止めることがあります。

倒産に至らないまでも、業務を円滑に運営するためには適切な人員の補充が必要です。新しい人材の採用には求人の掲載費用や新入社員の教育に多くの時間と労力が必要となります。これらのコストと手間を考慮すると、既存のスタッフが退職しないよう努力する理由が理解できます。

管理責任が問われて評価が下がるため

退職者が出ると、上司はマネジメント能力に欠けると見なされ、給与が減額されるリスクがあります。このため、短期的な待遇だけでなく長期的なキャリアにも影響を及ぼす可能性があることから、上司はしばしば強引に退職を引き止めることがあります。

また、上司に都合の良いもう一つのケースとして、上司が部下の業務成果を自分のものとしている状況もあります。この場合、使いやすい部下を失いたくないために、上司は退職を引き止めようとします。

自身がこれらの状況に当てはまると感じた場合、上司に利用され続けることがないよう、断固たる意志を持って退職や部署異動を進めることが重要です。

退職後のことを気にかけているため

会社や上司が自己の利益のためだけではなく、本当にあなたのことを考えて退職を引き止める場合もあります。特に、将来に対して曖昧な計画を持っている場合や、現実離れした計画を立てているときは、退職後の生活を懸念して退職を止めようとすることがあります。

信頼できる上司から退職を引き止められる場合、それはあなたの退職後の状況を心配しているからかもしれません。そのような場合は、上司の言葉を真摯に受け止め、自分のキャリアプランを一度冷静に再考する良い機会かもしれません。

上司が使う引き止めの手法

上司が退職を引き止める際には、一般的にいくつかの典型的な手法が用いられます。ここでは、退職の引き止めにおいてよく見られる4つの一般的な手法を解説します。

感情に訴える

最初の引き止め手法は、感情に訴えるアプローチです。例えば、「君がいなければ業務が成り立たない」「君ならではの貢献を期待している」といった言葉で、承認欲求を刺激して退職を再考させようとします。

このように良心を利用されると、退職を決断するのが難しくなることがありますが、過去の恩義と自分のキャリアを前進させる退職とは別問題です。

退職の決断は、感情に流されることなく、自身のキャリアにとって最善かどうかを冷静に評価することが重要です。

待遇の改善を提案してくる

また、給与アップ、残業時間の削減、希望部署への異動サポートなど、待遇改善を提示して退職を引き止める手法もあります。

しかし、こうした改善提案が口約束に留まることが多く、実際には上司に実施権限がない場合も少なくありません。したがって、改善の詳細を書面にしてもらい、自分一人でじっくり考える時間を確保することが重要です。

もし以前から待遇に不満があった場合、そのまま会社に残っても状況が改善されないことが一般的です。さらに、一度退職を考えたことが明るみに出ると、それが理由で待遇がさらに悪化するリスクもあります。

退職時期を引き延ばそうとする

退職時期を特定の期間が経過するまで、または後任が見つかるまで先延ばしにするというパターンも存在します。ただし、労働者には退職の自由が認められているため、合意した条件を満たしていれば、退職時期を延ばすよう求められても応じる義務はありません。

このように期間を延ばして会社に留まると、繰り返し退職が先延ばしにされる可能性があり、結果として長期間会社に留まることになるかもしれません。その過程で、退職する意志が次第に弱まることもあり得ます。

不安をあおってくる

転職後の年収が下がる可能性や転職先の悪評を挙げて不安を煽り、退職を引き止めようとするケースもあります。

さらに、人格を攻撃する発言や、「退職するなら損害賠償を請求する」と脅すような手法も存在します。しかし、損害賠償の請求が実際に成立することはなく、このような圧力をかけて退職を阻止することは法的にも認められていません。

もし強引な引き止めに遭った場合は、直属の上司よりも上位の管理職に相談することをお勧めします。社内で信頼できる相談相手が見つからない場合は、労働局への相談が有効です。

スムーズな退職に向けた事前準備

転職先を事前に確保しておく

スムーズに退職を進めるためには、上司に退職の意向を伝える前に転職先を確定させたり、今後のプランを具体的に決めておくことが役立ちます。転職先が決まっている場合、その事実が退職の意志の強さを示し、また新しい職場も関与しているため、現職の会社が単独で引き止めを行うことが難しくなります。

内定を得た会社の入社日に合わせて現職の退職日を設定することで、退職が先延ばしにされることなく、安心して転職活動を完了できます。入社日が近づく前に退職の意思を早めに伝えることが重要です。

会社の繁忙期を避ける

退職時期を会社の繁忙期と重ならないように調整することは、円満な退職を実現するために重要です。適切なタイミングで退職について話し合うことで、無用なトラブルを避けることができます。この話し合いで互いの妥協点を見つける過程は、スムーズな退職には不可欠です。

繁忙期に退職の意向を伝えても、十分な話し合いの機会が確保できず、結果として退職手続きが滞るリスクがあります。円満にそしてスムーズに退職を進めるために、繁忙期は避けることを心がけましょう。

退職の引き止めに対する対処法

退職の意思と理由を明確に伝える

退職意思が不確かなとき、上司に引き止められると「やはり残るべきか」と迷いが生じることがあります。

しかし、退職を決めたら、その決意を固く持つことが重要です。退職を相談するのではなく、断固として退職する意思を伝えることで、上司も引き止めにくくなります。また、退職の具体的な手続きについて話を進めると、プロセスが進行しやすくなります。

退職意思を変えさせないためには、引き止めにくい明確な理由を伝えることが効果的です。「長年志望していた業界からの内定を得た」「特定のスキルを深めるためには転職が必要である」といった理由を示すと、上司も理解しやすく、自分勝手な理由で引き止めることが難しくなります。

前向きな退職理由を伝える

社内の人間関係や現在の給料、待遇に不満があるという理由で退職を申し出ると、改善を約束されて退職を思い留まるよう説得される可能性があります。カウンターオファーを回避するためには、これらの問題点を退職理由にするのは避けるべきです。

一方で、キャリアアップや個人の目標達成を目指して転職するというポジティブな理由を挙げることで、退職を申し出た際に引き止められるリスクを減らせます。理解ある上司なら、そのような理由には支援や応援をしてくれることもあります。

まとめ:円満かつスムーズに退職するには準備が重要

退職の意思を伝えた際、上司が引き止めてくることがあります。引き止めの背景には、採用コストの削減や自身の評価の低下を避けたいという自己都合がある場合も少なくありません。よくある引き止め手法には、感情に訴える、カウンターオファーを提示するなどがありますが、強引な引き止めは違法行為とされています。スムーズな退職を実現するためには、現職に退職の意思を伝える前に転職先を確保しておくことが非常に有効です。この準備により、退職の際に引き止められたとしても、自身の次のステップが明確であるため、前向きな理由を伝えやすくなります。また、繁忙期を避けて退職の意思を伝えること、引き止めにくいポジティブな理由を明確にすることも重要です。退職スケジュールをしっかりと計画し、手続きについて上司に相談しましょう。転職の準備や相談については、シーカーズポートにご相談ください。彼らの専門的なサポートが、あなたの転職活動をよりスムーズに進める手助けとなるでしょう。

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